NEW 本の紹介

ロンブ・カトー|わたしの外国語学習法

運命!タイタニックのジャック

こんにちはタニです

「英語はますます重要になる。」

とよく聞きますね

しかし、こんな風に思いませんか?

  • 英語を勉強する気持ちになれない
  • 先の見えない将来に英語が役立つのかわからない
  • 「今から勉強しても意味がない。」と言われ心が折れる

そうですよね、わかります

私たちは、決意できないし、将来が不安で、簡単に心が折れてしまいます

だからこそ

  • 学ぶことで不安が薄れ、もっと充実した毎日になる

と信じてほしいのです

本書は、コトバに魅了され、ほとんど自国を出ることなく独学で16ヶ国語を身につけて、激動の時代を力強く生きた1人の女性の自叙伝です

何かを達成する手段ではなく、コトバそのものに魅力を感じて、生涯をかけて学び続けるというと、身近にそんな人はいないでしょうから、想像することが難しいですね

これはわかりやすくいうと、タイタニックのジャックとローズのようなものです

思い出してください、若きレオナルド・デュカプリオが演じたジャックを

正に魔性の魅力ですよね

著者にとってコトバとは、運命を決定づけたジャックのような存在です

彼女は、コトバを追い求めることで、ほぼ独学で多言語を習得して、世界初の同時通訳者の1人として活躍しました

彼女の生き様は、必ずやあなたの心に勇気の火を灯してくれるでしょう

女性!独学で16ヶ国語

ほとんど自国を出ることなく、ほぼ独学で16ヶ国語を身につけ、世界初の同時通訳者の一人として活躍したハンガリー人の女性を知っていますか?

それが著者であるロンブ・カトーさん(Kató Lomb、1909-2003)です

彼女の母国であるハンガリーは東ヨーロッパにあります。しかし、母国語であるハンガリー語は言語的にはウラル語族に属しているので、親戚関係にあるヨーロッパ系言語を習得したのではありません

これは日本人でいうと、英語を勉強するようなものです

似ていない母国語にも関わらず、彼女は独学によって14のヨーロッパ系言語と中国語、日本語を学び、通訳という飯の種にまでにしました

彼女が生きた時代について解説します

彼女は第二次世界大戦前に生まれ、大学で学んでいた1929年には、世界恐慌による大不況が起きました

大不況は当時の資本主義社会全体に蔓延し、大学を卒業した1933年にはドイツでナチスドイツのヒトラー内閣が成立しています

1930年代初頭、当時21歳の著者は、物理と化学の学士を取得して大学を卒業しました

しかし、卒業証書が、就職することに、何の役にも立たないほどの大不況だったのです

私たち就職氷河期のような就職難ですね

卒業して世の中に出る経済情勢が、その後の人生に大きな影響を及ぼすことは、いつの時代も変わらないとわかります

大学での学士で収入を得ることは不可能だったので、彼女は外国語を教えて食べていこうと決意しました

卒業後、英語を自宅のボロボロのソファーの上で、英語小説を読むという方法で習得し、職を得たのです

当時の彼女にとって確かな収入を約束していたのは英語だけでした

その後、彼女は、連合軍による空爆が行われる中、独学でロシア語を学習し、第二次世界大戦が終了した1945年にはロシア語通訳となりました

そして通訳となった後も、ルーマニア語、中国語、ポーランド語、日本語などの新しいコトバを生涯学び続け、世界初の同時通訳者の1人として活躍しました

私たちは、社会に出る時代を選ぶことができません

しかし、学ぶことで、道が拓けるのです

生きるために英語を習得した筆者の生き様からは、過酷な時代であっても、学び続けることの大切さが伝わりますね

言葉の魔性の魅力

あなたは、学びたいと思い、その答えを求めて検索したのだと思います

そこで、質問です

そもそも学びたいと思ったのはなぜですか?

その理由を深く考えてみることが、勉強の志となります

著者にとって、学び続ける理由とは、コトバへの興味です

6歳だった彼女は、ラテン語を勉強し、その魔性の魅力に取り憑かれました

夢中になって、ラテン語の響きの良い、美しい言い回しとハンガリー語の判読にとりかかったと回想しています

そして、生涯をかけて独学で16ヶ国語を習得し、90歳を過ぎても新しい言語に挑戦を続けました

あなたの学びのきっかけとなった出来事を思い出しましょう

そして、それがいつ頃、どこにいて、誰と一緒で、その時にどんな感情を抱いたなどをできるだけ詳しく考えるのです

小学校のときに、外国人の先生との授業はありませんでしたか?

外国人の先生と話をしたいと思ってもコトバがわからないと何も言えませんよね

著者とラテン語のような劇的な出会いではなくても、私たちには、学びたいと思うようになった出来事が必ずあります

そのときの気持ちを思い出して、今の行動につなげてみましょう

自分にとって続けられることが良い方法

あなたが英語の勉強について、誰かに話すとこんな風に言われませんか?

  • 海外に行くか、外国人の友だちがいないと無理
  • 今から勉強してもネイティブのようにはならないので意味がない

こう言われてしまうと、私たちは簡単に心が折れてしまいますよね

否定的な雑音に心が乱されたときは、独学によって外国語を学び通訳の職まで得た著者を思い出しましょう

第二次世界大戦前に学校教育を終えた彼女の外国語学習方法は読書と辞書でした

簡単にいうと、独学で新しい言語の本を読んだのです

彼女の方法から学ぶべき点は、彼女の学習法が、当時ですら必ずしも最善ではなかったことです

当然、外国語は、外国人から直接学ぶことが効率的です

しかし、大不況による就職難や第二次世界大戦の混乱の為、彼女が利用可能な学習資源は、時間についても資金についても教材についても限られていました

彼女の方法は

  • 英語を自宅のボロボロのソファーの上で小説を読むことで習得
  • ロシア語を地下の防空壕で、ハンガリー語の百科事典にロシア小説を貼って学ぶ

という、とても恵まれているとは思えない方法です

実際、ロシア語については、本のみで学んだ為に発音が全くわからず、聞き取ることができなったので、一緒に働いていたロシア人から栄養失調で聴力が弱いのだと思われていたそうです

効率の悪い方法であったにも関わらず、結果として通訳者として収入を得るだけの実力を身に付けることができたのは、学び方が最善であったのではなく、彼女にとって持続可能であったからです

学習において、最も成果に影響するものは、方法ではなく継続、つまりどれだけ長く勉強したかであることがわかります

方法によって差が生じるのは、同じ量を学習した者同士を比較した場合です

どんな手段であったとしても、今のあなたにとって続けることができるものが、あなたに最善であることを忘れないでください

「今から英語を勉強してもネイティブのようにはならないので意味がない」という雑音について、著者は

  • 外国語こそが、たとえ下手に身につけても決して無駄に終らぬ唯一のもの

と力強く宣言しています

たとえば、バイオリンがちょっとしか弾けない人がいたとします

その人は自分の演奏によって聴衆に及ぼす苦痛が、自分自身にもたらされる喜びに比べて計り知れないほど大きいことを即座に見て取るでしょう

しかし、もし、ベネチアの鉄道駅で、ミラノに行くのにはどの列車に乗るべきかということを尋ねるのに、コトバが間違っていたとしても、何一つ尋ねることができないよりどれだけましかしれません

想像してください、あなたの街で外国人に英語で声を掛けられることを

少しでも話すことができたのなら、その人を助けることができるのです

タイタニックのローズ!!!

タイタニック号でジャックに出会ったローズのように、著者は、コトバにめぐり合ったことで人生を切り開いたのです

世界恐慌、ナチスドイツの台頭、第二次世界大戦という激動の時代をコトバへの情熱によって同時通訳者として生き抜いた人生に、勇気づけられますね

英語があなたにとってどんな意味をなすのかは、勉強してみなければわかりません

ちょっと、やってみようかな

と思ったら、英語学習をはじめてみましょう

学ぶことで、人は変わることができます

最後まで、ありがとうございました

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